미스테리 추리소설 작가의 집
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生まれ育った京都府向日市(むこうし)に、まるで宮殿のような一戸建てを築いたミステリー作家・下村敦史さん。
住みやすさより驚きを追求したというご自宅は、曲線を描く階段や地下の「隠し部屋」など、物語の中に迷い込んだような仕掛けがずらり。また書斎は「バロック調」、ベッドルームは「ヴィクトリアン調」……と部屋によってコンセプトが異なっているのも特徴です。
自宅と仕事場を兼ねているケースが多い、小説家や漫画家、美術家など作家の家。生活の場であり、創作の場でもある家にはどんなこだわりが詰まっているのでしょう。その暮らしぶりや創作風景を拝見する連載「作家と家」第6回です。

階段に一目ぼれして「輸入住宅」を選んだ
タケノコの産地として知られる緑豊かな京都府向日市の住宅地に突如、宮殿を思わせる建物が現れます。第60回江戸川乱歩賞受賞のミステリー作家、下村敦史さんの自宅です。

2020年12月に完成。土地面積183.35㎡、延床面積226.94㎡。異彩を放つこの家が立つ土地には、もともと下村さんの祖父母が住んでいました。亡くなった後、両親から跡地に新しい家を建てるよう勧められたのだそう。
「 この家を建てる以前、僕は実家で両親と同居していて、純和風の家の6畳間で仕事をしていたんです。作家としてデビューしてから本を置くスペースが足りないのが問題になってきて、両親が『書庫がある家を建てたらどうだ』と提案してくれましてね。だったら自分が満足できる家を建てようと、2017年から準備を始めました。土地を残してくれた祖父母には感謝しています 」
扉を開けると、まず視界に飛び込んでくるのは豪壮な「サーキュラー階段」(曲線で構成された回り階段)。サスペンスドラマのように「何かが起こる」雰囲気を感じます。


「 最初はホテルのようなモダンな雰囲気にしようと考えていたのですが、インターネットで間取りを検索するうちにサーキュラー階段の画像が目に飛び込んできて、すっかりほれ込んでしまって。『この階段がどうしても家に欲しい』と検索すると、“輸入住宅”という単語がヒットしたんです 」
「輸入住宅」とは、床やドアなどの設備に輸入した部材を用い、海外の工法で建てられた家を意味します。
「 『輸入住宅』というキーワードで画像検索をしてみると、古いヨーロッパやアメリカのテイストを感じる家の画像がたくさん。『自分が好きな雰囲気はこれだ!』と強く感じ、そこから輸入住宅に絞って家づくりをすると決めました。
幼いころから『バイオハザード』や『トゥームレイダー』などハードなアクションゲームが大好きで、その舞台として登場する豪邸や洋館、宮殿の重厚なタッチが肌に合ったんでしょうね 」
時代を超えて。空間ごとに違う「世界観」が漂う
サーキュラー階段をはじめ、この家の設計と建築は輸入住宅を専門とするビルダー(建築業者)に依頼。そのかいあってか、建ててまだ3年に満たないのに海外の古城のような風格が。外観、内装、隅々まで16~19世紀に西洋で流行した格式美に包まれています。
「 僕は『ヴィクトリアン・ホテル』(実業之日本社)という小説を書くほど古典的な建築デザインが好き。書斎は16世紀から18世紀初頭のバロック調で『悠久の時を超えたギリシャの図書館みたいに』とオーダー。リビングダイニングやゲストルームは18世紀のフランス王宮のイメージでクリーム色を基調としたロココ調、マスターベッドルームは19世紀イギリスのヴィクトリアン調……と希望を全て伝えました 」




下村さんが好むクラシカルな美術様式は、盛んだった国や時代ごとに微妙にデザインが異なり、言葉でイメージを伝えるのがとても難しい。そこで下村さんは「Pinterest(ピンタレスト)」を使ってコミュニケーションをとったそう。
「 『こういう部屋が好きだ』と感じて集めた画像をビルダーさんと共有したところ、お互いのイメージがズレることはなくなりました 」
「住みやすさ」よりも「驚き」を。ミステリー作家の矜持(きょうじ)
門扉のみならず室内にもロートアイアン(装飾性が高い錬鉄)をぜいたくに使い、天井にはアーチを施し、電子式の暖炉まで設えるなどディティールに凝った下村さんの家。どの空間にいてもフィクションの世界にいるようで、生活感を感じさせません。



「 訪れた人たちはみんな『まるで映画のセットのようだ』とびっくりしますね。ご家族を招待したときは、お子さんが興奮して家の中を走り回ったり、かくれんぼをして遊んだり。きっと子どもの目にはテーマパークのように映ったのでしょう。
誰もが家を建てるときは住みやすさを一番に考えますけど、僕には『自分は24時間、常にミステリー作家だ』という意識がある。だから初めての打ち合わせの際、『住みやすさよりも驚きを優先してほしい。訪れる人が楽しんでくれる“何かが起こりそうな洋館”を目指したい』と伝えました 」
何かが起こりそうなドキドキ感は、外観や内装の仕上げだけがもたらすものではありません。家具やインテリア、調度品、壁掛けや彫像などの美術品もまた骨董的価値がありそうなものばかりで心をざわつかせます。

「 リビングダイニングのシャンデリアは100年以上前のフランスでつくられたアンティークです。ネットを駆使して、できるかぎり安くて高価そうに見えるものを優先して選びました。Amazonとヤフーショッピング、楽天で『家具 アンティーク』『家具 ロココ』などと検索すると、けっこう掘り出し物が見つかるんですよ(笑) 」

エンターテインメント性に富んだこの家の2階には豪華なシアタールームが。スクリーンは、赤いベルベットのカーテンが両側に開く本格的な仕様。120インチの大画面、スピーカーの大音量は映画館さながらの迫力です。

さらに、爆音シーンなど上映内容と連動して椅子が振動するというから驚き。家にいながら体感型シアターのような臨場感を味わえます。

「 チェアが振動するシステムは皆さん驚かれますが、実は値段は2席で3万円くらい。劇場施工のショールームで座ってみて『そんなにお手ごろならぜひ』とお願いしました。安いのが大好きですから(笑) 」
シアタールームで映画やドラマを楽しむ以上にハマっているのが、サッカーのオンライン対戦ゲーム「eFootball」(イー・フットボール)。最上位のレベル「ディビジョン1」(全世界でユーザーの0.8%しか到達できない難度)でプレイするほどの腕前です。
「 執筆をして、息抜きに2、3試合し、執筆に戻ってまた息抜きに3試合。それが僕の1日のルーティン。マスターベッドルームで執筆し、飽きると書斎に移動して書いて、気分転換にシアタールームでゲームに興じる。やりたいことが全て家の中で完結する生活スタイルをとても気に入っていて、外出は近所のコンビニで買い物をするくらいですね 」
秘密のドアを開く“カギ”は本棚のデビュー作
ミステリー作家としての「仕掛け」はまだあります。わざわざ地面に穴を掘り、なんと地下に「隠し部屋」まで設けてしまいました。
「 当初は隠し部屋をつくる予定はありませんでしたが、担当の編集者に家の設計図を見せたとき、『いっそ隠し部屋も設けましょうよ』と提案されて、ついその気になってしまって。
本棚に挿してある僕が初めて上梓(じょうし)した本を動かすと、秘密のドアが開き、地下の隠し部屋へ続く階段が現れます。大工さんがノリノリで仕掛けをつくってくれました 」


「 隠し部屋は、ヨーロッパの遺跡を模してつくりました。ここに悪党たちが盗んだ絵画や刀剣など宝物を隠している。さらに誘拐してきた者を拘束する椅子が置かれている……というイメージです。実際、2024年の春に発売する小説はこの家が舞台で間取り、内装、全部そのまま。森の奥深くの洋館に住むミステリー作家が模造刀で殺害されて地下室で遺体で発見される物語。フィクションと現実を織り交ぜて執筆しました 」


「訪れた人たちに楽しんでもらいたい」。そのために秘密のドアや隠し部屋などギミックも仕込んだ下村さん。しかし、完成後はすぐには思い通りに運びませんでした。
「
この家は設計段階から同業者や編集者たちと盛り上がっていて『完成したら、お披露目会をやりましょう』と計画もしてくれていました。ところが完成したタイミングでコロナ禍に直撃されてしまい、緊急事態宣言が解除されるまで誰も招待できなかった……。数カ月間、この家で独りぼっちで過ごしました。寂しくて、むなしかったですね 」
貯金をはたき、残高は8万円になってしまった

この家を建てるために、いったいいくら費やしたのでしょう。
「 建築費はぶっちゃけて言うと、1億円をちょっと超えてしまいました。そのうち6千万円ほどは貯金していた賞金や印税。建築費を支払った直後は残高が一時的にわずか8万円になってしまい、震えましたね。残りの約4千万円は20数年のローンを組んで支払っています。
1億円をかけてまで家を建てたのには、実は理由があって。先輩作家がよく『このごろの新人は真面目過ぎる。賞金も貯金し、夜のお店で大金を使うような遊び方もしない。それじゃ作家を夢見る人が少なくなる』とおっしゃる。僕はお酒を飲みませんし、夜のお店へも行かない。真面目過ぎる作家の代表格といえる存在でした。『だったら、高いお酒の代わりに家を建てたら、作家という職業にも夢を見てもらえるんじゃないか』と考えたわけです 」

ミステリー作家としての信念を貫き、妥協せず理想の家を建てた下村さん。この家で暮らすようになってから、作品に変化はあったのでしょうか。
「 登場人物がいる場所の描写が以前よりも丁寧になったのが、最も大きな変化かなと思います。例えば、ここに住んでから書いた最新刊『ガウディの遺言』(PHP研究所)もサグラダ・ファミリアの建設が大きな要素となっていますし、設計や建築に対する興味がますます深くなりました。
それと、自分で家を建てたことで文芸誌以外からも仕事がもらえるようになりました。建築の専門誌の方には『雑誌で連載してくれませんか。下村さんのお宅の柱の1本ほどの金額になるようお仕事で貢献させてください』と言っていただいて。家のおかげで新たな“人とのつながり”が生まれましたね 」
後悔のない家づくりをしてほしい
家づくりによって仕事の質が高まり、仕事の幅も広がった下村さん。小説家にとって執筆環境がいかに重要かを改めて痛感します。取材を通じて感じたのは、小説と同じように、この家もまた下村さんの“作品”であるということ。家という名作を生み出した下村さんが考える、いい家をつくる秘訣とは。
「 重要な点は、いいビルダーさんとの出会いがあるかどうかだと思います。僕の場合、自分でも『さすがに無理じゃないか』と躊躇(ちゅうちょ)したオーダーもビルダーさんは決してノーと言わず、なんとか実現しようとしてくれた。わざわざ海外在住歴が長い職人さんを探してきてくださるほど。2017年に着手してからの約3年間、一緒に楽しみながら進めることができたんです。
家づくりは人生で何度も体験できるものではありません。自分のイメージを共有できるか、希望をちゃんと検討してもらえるか、それができるかできないかで家への愛着は大きく変わってしまう。皆さんにも後悔のない家づくりをしてほしいと思います 」

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돈을 벌고 잔액은 80,000 엔이되었습니다.

이 집을 짓기 위해 얼마든지 썼다.
" 건축비는 굳이 말하면, 1억엔을 조금 넘어 버렸습니다 . 그 중 6천만엔 정도는 저금하고 있던 상금이나 인세. 건축비를 지불한 직후는 잔고가 일시적으로 불과 8만 엔이 되어 버려, 떨렸네요. 나머지의 약 4천만엔은 20 몇년의 대출을 짜서 지불하고 있습니다.
1억엔을 들여까지 집을 지은 데는 사실 이유가 있어. 선배 작가가 자주 『 요즈음의 신인은 너무 진지하다. 상금도 저금하고 밤의 가게에서 큰 돈을 쓰는 놀이 방법도 하지 않는다. 그럼 작가를 꿈꾸는 사람이 적어진다”고 말한다. 나는 술을 마시지 않으며 밤의 가게에도 가지 않는다. 진지한 작가의 대표격이라고 할 수 있는 존재였습니다. 『그렇다면, 높은 술 대신에 집을 지었다면 작가라는 직업에도 꿈을 꾸는 것이 아닐까』라고 생각한 것입니다 」

미스터리 작가로서의 신념을 관철, 타협하지 않고 이상적인 집을 지은 시모무라 씨. 이 집에서 살게 되고 나서, 작품에 변화는 있었을까요.
“ 등장 인물이 있는 장소의 묘사가 이전보다 정중해진 것이 가장 큰 변화일까라고 생각합니다.・파밀리아의 건설이 큰 요소가 되어, 설계나 건축에 대한 흥미가 점점 깊어졌습니다 .
그리고 스스로 집을 지은 것으로 문예지 이외에서도 일을 받게 되었습니다. 건축의 전문지에게는 「잡지로 연재해 주지 않겠습니까. 시모무라씨의 집의 기둥의 1개 정도의 금액이 되도록 일로 공헌시켜 주세요」라고 말해 주셔서. 집 덕분에 새로운 "사람과의 연결"이 태어났습니다. "
お話を伺った人:下村敦史さん
小説家。1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。数々のミステリーランキングで高評価を受ける。主な著書に『真実の檻』『サハラの薔薇』『生還者』『刑事の慟哭』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』などがある。
Twitter:@atushishimomura
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